派遣社員の3年ルールの全て!延長の抜け道から例外・失業保険まで

労働派遣法が2015年9月に改正されて3年半が経過し「派遣3年ルール」という言葉は何となく知っている方は多いと思いますが、その内容を詳しくご存知ですか?

派遣社員の3年ルールとは

3年ルールって、以前は派遣は3年超えても働けたけど、法改正されて派遣は同じところで3年までしか働けなくなったってことでしょう?!

…..そうです、ほぼ正解です。派遣の3年ルールとは「同じ組織で継続的に働ける期間(派遣期間)を原則3年上限とする」ことを言います。

但し、あくまで「原則」なため、契約延長するための抜け道例外などもあります。

このり

派遣の3年ルールは派遣で働く全ての人の雇用に関わる大切なことです!
3年ルールの概要から、契約延長するための抜け道や例外、派遣社員の失業保険までご紹介しますので参考にしてくださいね♪

いつから適用されてるの?

2015年9月に改正された労働派遣法は、3年ルールの適用は改正後に結んだ雇用契約からとなっています。

2015年9月30日以前に雇用契約をしていた方でも契約満了後、新たに契約更新をする時からこの3年ルールは適用されているため、2019年現在、派遣で働いている、例外を除く全ての方に適用となっています。

抵触日とは

派遣で働くうえで「抵触日」はとても重要な日で「3年の派遣期限制限を迎えた翌日」のことを言います。

それなら、自分が派遣されて3年が経過した翌日のことね!と思いますよね.。いいえ違います。派遣期限の3年は実は「事業所単位」と「個人単位」という2つに分けられているんです。

事業所単位の抵触日

個人事業主の抵触日
事業所単位の派遣期限制限は「事業所で派遣を雇えるのは最初の派遣社員を受け入れてから3年が限度」と定められています。

そのため、事業所単位の派遣制限期間がくると、たとえ個人では3年まで期限がある派遣社員でも、その事業所では働くことが出来なくなります。

企業が派遣を雇うことになり、まずAさんを派遣で雇い入れ、その1年半後にあなたを派遣で雇った場合、Bさんの個人単位の抵触日は3年経過した翌日になりますが、事業所単位の抵触日は1年半後の翌日になります。もしここで事業所が何もしなければあなたはAさんと共に1年半後の翌日に抵触日を迎えます。

ただし、そうならないために、事業所は事業所内の過半数労働組合(従業員)に抵触日の1ヶ月前までに意見聴取を行うことで、派遣期間が延長できます。

この手続きは回数制限がないため、繰り返すことで、その事業所は継続して派遣を受け入れることが出来ます。

このり

事業所単位の抵触日は私は働く上で気にしたことがありませんでした。実際、同意を取れずに事業所が仕方なく派遣の利用をやめるといったケースはほとんどないようです。
ただ、こういったケースもあり得るということは知っておいた方が良いですね!

個人単位の抵触日

個人単位の派遣期間制限は「派遣社員が同じ組織で働くことができる期間は3年が限度」と定められています。その派遣期間制限を迎えた翌日が個人単位の抵触日となります。

この、同一の組織とは、「部署」「課」や「グループ」などがあてはまります。

派遣が同じ組織にいられるのを3年にした理由は、国が「非正規雇用より正規雇用を増やしたい」「3年以上必要とするならその組織は慢性的な人手不足なんだから就業先の企業が直接雇用しましょう!」と考えたためです。

この法改正、私の周りの多くの友人は怒っていました。

なぜなら、あえて気に入った企業で派遣として長く働くことを選んでいたからです。また、これを機に直接雇用になれるかも?!と期待した友人もいました。そして友人達は限度が設けられた結果、直接雇用にはなれずに新しい仕事先を探すことなりました。

このり

このように、国が正規雇用を増やしたいと思って法改正しましたが、実際には企業は直接雇用にすることなく別の派遣社員を紹介してもらうことが多く、派遣社員にとって厳しい状況になっています。

5年ルールとの違い

5年ルール
派遣3年ルールの他に5年ルールもあったよね?と、派遣3年ルールと5年ルールの違いが分からなくなっている人もいるのではないでしょうか。紛らわしいですよね。

派遣3年ルールとは先に説明した通り、2015年9月に改正された労働派遣法による、「同じ組織で継続的に働ける期間(派遣期間)を原則3年を上限とする」もので、派遣社員のためのものです。

一方、5年ルールとは2013年に改正された労働契約法による、「同じ企業との間で、有期労働契約が5年を超えていて、且つ1回以上の更新をされている場合、有期契約労働者から申請があれば、無期労働契約に転換される」というものです。

3年ルールは派遣社員のためのものですが、5年ルールは派遣社員だけでなく、契約社員、アルバイト・パートなどすべての有期契約労働者が含まれ、申請を受けた企業はそれを拒否することはできない制度となっています。

5年ルールは5年も契約するほど必要な人材は企業できちんと雇用しましょう!との国の考えで2013年4月1日から施行されましたが、2019年現在、施行から5年を超えて無期雇用に転換された雇用者もいるものの、5年経過前に有期雇用を打ち切られた雇用者もたくさんいます。

3年ルールと5年ルールはそれぞれ内容が異なるものですが、国の考え通りになっていないところは同じですね。

※5年ルールは派遣の場合、無期雇用の措置を取らなければいけないのは企業ではなく派遣元となります。

スポンサーリンク

契約延長のための抜け道

契約延長 抜け道
派遣3年ルールにより、派遣が同じ組織で継続的に働けるのは長くても3年までとなりました。しかし、同じ企業で3年を超えて絶対働けないのか??というと、そうではありません。

いくつか抜け道があります。

部署異動

1つ目は部署移動です。

例えばある企業の経理部で3年働いて、期限がきたら同企業の総務部に移動してまた3年働く。といった感じに、部署を変わることで3年を超えて働くことが出来るのです。

そこまでしてその派遣社員に継続して欲しいと企業が思うのか?別の仕事内容に従事してまでその企業で派遣社員は働きたいのか?といった問題はありますが、継続して働くための抜け道となります。

このり

家が近いから、社内の人間関係が良いからなど、仕事内容ではなく条件が良いなどの理由でその企業で継続して働きたい場合は、タイミングが合えば継続できる可能性はあります。
派遣会社に相談してみましょう。

クーリング期間

2つ目はクーリング期間です。クーリング期間により「抵触日をリセット」できるのです。

クーリング期間とは、例えば、あなたが4月1日に抵触日を迎えるため契約が終了になるとします。
その時にその組織が4月1日から3ヶ月と1日以上の間、派遣社員を雇い入れることをしなければあなたの抵触日はリセットされて、あなたに改めて3年後の抵触日が付与されるのです。
3ヶ月と1日以上あなたはその派遣先での就業を休むことで、3ヶ月と2日以降、また同じ派遣先で働けるのです。

但しここで問題があります。

3ヶ月と1日以上休むことであなたの年始有給休暇が消滅してしまいます。

派遣社員

消滅するなら残さずに休みに入ればいいんじゃない?

このり

たしかにそうですが、年始有給休暇は就業開始後6ヶ月後に支給され、その後就業年数が増えると一年間に支給される日数が増えます。
クーリング期間によって最初の6ヶ月間は有給休暇が与えられないうえに、一年で付与される有給日数が1年目からの日数に減るのです。

そこまでして派遣先があなたに残って欲しいと思うか?あなたが残りたいと思うか?そこも問題です。

3年経過後の直接雇用について

派遣社員
3年を経過して派遣先がその派遣社員が必要と感じたときには直接雇用したいと言ってくることもあります。

ここで大切なのは、今後あなたがどう働いていきたいか?とどんな雇用の条件なのか?です。

派遣という身軽な働き方が気に入っている方は直接雇用は断り、次の派遣先を探してもらった方が良いでしょう。

安定を求めて正社員を望んでいる方にとっては、正社員での直接雇用の申し出であれば、お給料などの雇用条件があえばラッキーです!

このり

ただ、残念ながら契約社員での申し出が多いのが現実です。契約社員の場合、派遣で働くよりも年収が低くなるなど条件が悪くなる場合もあります。そして派遣社員ほど身軽な働き方ではありません。
雇用条件を確認し、自分の立場も変わることを考慮したうえで決断しましょう!

契約解除

3年経過以降に正社員・契約社員・無期雇用派遣社員など、派遣から雇用形態を切り替えて同じ組織で働き続けられることもあります。

就業先から雇用形態を変えての就業を打診される場合もありますが、実際には派遣を雇い続けていきたいと思っている企業が多いです。そのため3年以内に契約解除される可能性があります。

これはどんなに素敵な上司がいても、正社員と派遣社員の人間関係が良い職場でもあります。気持ちでは続けて欲しい気持ちがあっても、雇用形態を変えて派遣社員を雇うということは企業にとってリスクがあるのです。

いつ契約解除されても次の生活に困らないように、あなたのライフプランを考えておきましょう!

スポンサーリンク

例外

派遣3年ルールについてご説明してきましたが、60歳以上の派遣労働者や派遣元で無期雇用されている派遣社員は例外としてルールが適用されません。

60歳以上の派遣労働者


60歳以上の派遣労働者は、派遣3年ルールの適用外です。

有期雇用派遣として3年の期限を迎えるときの年齢が59歳以下であれば、原則適用対象、60歳以上になると対象外となります。

無期雇用派遣社員

以前は派遣は有期雇用のみのイメージでしたが、最近、派遣会社では自社で雇用する無期雇用派遣を募集しているのをご存知ですか?この、派遣元で無期雇用されている派遣社員も派遣3年ルール適用対象外となります。

無期雇用派遣社員とは

無期雇用派遣とは派遣会社との間に期限を定めずに雇用契約を結び、派遣社員として企業で働くことをいいます。

派遣会社の無期雇用派遣社員の採用選考に応募し、選考を通過した人は派遣会社に雇用され、多くの場合、月給制で給料は支払われ、交通費やボーナスの支給もあります。また、派遣先が決まるまでの待機期間もお給料は支払われます。

無期雇用派遣と有期雇用派遣のちがいとは?

無期雇用派遣有期雇用派遣
選考に合格すると派遣先に雇用される派遣に応募して決まれ派遣先と雇用契約
派遣先に無期限で就業できる同じ組織には上限3年
月給制時給制
多くはボーナス有り多くはボーナス無し
交通費支給交通費は無いことが多い
派遣先を選べない派遣先を選べる
自由がきかない自分のライフスタイルに合わせられる

3年ルールで雇い止めになったら雇用保険の失業保険はもらえる?

派遣社員 失業保険
「1週間の所定労働時間が20時間以上」で、かつ「31日以上の継続した雇用が見込まれること」この2つの条件を満たすと、派遣社員も雇用保険に加入することができます。

雇用保険に加入して働いていた場合、派遣社員でも受給条件に達していれば失業保険は給付されます。

自己都合になって給付制限がつく?

3年ルールで更新できないために派遣先を辞めなければいけない場合、抵触日のギリギリまで働いても、その後働く意思があれば自己都合ではなく会社都合となり給付制限はつきません。

ただ、ハローワークの職員さんでもはっきりと理解していない人も多いようで、窓口で「給付制限がつく」と言われることもあります。疑問に思ったことは別の職員に聞いたり電話で問い合わせするなどして、正しい情報を得るようにしてくださいね♪

このり

派遣は、働き始めるとき、更新するとき、3年の期限がきたときなど、正社員よりも疑問に思うことが沢山でてきます。
疑問に思ったことはそのままにせず、派遣会社の担当者や専門の窓口に相談しましょう!